トラックスケールや精肉店や鮮魚店のはかり、ガソリンメーターやタクシーメーターなど私たちの生活の周りでは、様々なはかりが使われています。もしこれらのはかりが正確でなかったら、経済や生活がむちゃくちゃになってしまうでしょう。

そのためこれらの重さに関する取引や証明に使われているはかりは、一般家庭で使う体重計のようなはかりとは別に検定付の特定計量器と呼ばれ、法律や日本工業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)で細かなルールが定められています。

この特定計量器を事業で扱ううえでとても大切なのが検定と検査です。ここではリサイクル業者様や一般的な製造業様で物の重さを計るはかりをご使用の方にこの2つについて詳しく解説します。

なお、厳密な法令の説明となると難しくなるため、ここではあくまで一般的な解釈から解説していきます。

INDEX
  1. 取引・証明に使えるはかりは検定品だけ
  2. とっても大切な検定と検査の話
  3. 検査を受けたことがない場合はダイトクへご連絡ください!

取引・証明に使えるはかりは検定品だけ

長さや質量、時間などを測るための器具を計量器と呼び、そのうち取引や証明のための計量に使われるものを検定付の特定計量器などと呼び、重さを計る質量計においては検定付はかりとも呼びます

この特定計量器についてのルールは、昭和26年に定められ、平成4年に全面改正された計量法という法律と、それに連なる計量法施行令特定計量器検定検査規則などの国の定めたルール、そしてJIS規格によって決められています。

このうちJIS規格では特に細かく具体的なルールが定められており、特定計量器を取引や証明のために使うには、そのルールをヌケ・モレなく守っている必要があります。

ハンコを押すビジネスマン

ルールを守っているはかりについては、その証明として各都道府県の計量検定所などによる検定証印または国が指定した製造事業者による基準適合証印が付されます。これらの証印が付された特定計量器は検定品と呼ばれ、取引や証明に使用することができます。

逆に言えば検定品ではない特定計量器については、取引や証明のための使用ができず、仮に使用してしまった場合は罰則として6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられることとなっています。つまり取引・証明に使えるはかりは、検定品だけなのです。

とっても大切な検定と検査の話

特定計量器を検定品として使用し続けるためには、各都道府県の計量検定所などが行う検定と各行政機関が行う定期検査に合格する必要があります。

この2つは言葉の響きこそ似ているものの、様々な違いがあります。以下では検定と検査、それぞれ解説を通じて、両者の違いを明確にしておきましょう。

非常に高い精度が要求される検定

検定で求められる精度

分銅

検定とは、新しく作られた計量器や修理された計量器が、国が定めた性能を備えているかどうかを確かめる検査を指します。

非常に高い精度が求められ、例えば精度等級3級のトラックスケールの場合、ひょう量(最大積載重量)に対して0%から100%までの分銅を載せたときに、それぞれの範囲で誤差が目量(1目盛あたりの重量)に対して±0.5倍〜±1.5倍に収まっている必要があります。この誤差を検定公差と呼びます。

これは例えばひょう量が40t、目量が10kgのトラックスケールに、40tの重りを載せても器差(誤差)が±15kg以内に収まっていなければならないということです。

この精度をひょう量が200kgの体重計に換算すると、器差(誤差)がたった±75gしかないのと同じことです。大手電器メーカーの体組成計の誤差が±200〜600g程度ですから、検定品の特定計量器に求められる精度がどれだけ高いかがわかります。

※重力補正などの理由で手元の成績書には更に厳しい合格範囲が記載されている場合もあります。

ダイトクでは検定に合格するだけではなく、検定精度の0.8倍を合格範囲として、よりレベルの高い精度を出すために日夜全力を注いでいます!

型式承認制度について

JIS規格には検定のための具体的な手順が事細かに決められており、上記の分銅を使った器差検定の他に構造基準検定というものがあります。

例えば非自動はかりの構造基準検定では、傾斜を加えたり温度や電源電圧を変えたりと計量の条件を変化させて性能を確認するほか、はかりの種類によっては耐久性を確認するために、ひょう量の約50%に相当する重りの載せ降ろしを10万回も行う場合があります。

しかし、上記の構造基準検定を全数実施するのは非常に大変な作業になります。そのため経済産業省などは、サンプル品で検定を実施し、そこで合格した製品に会社ごとの型式承認番号を発行することで、その製品については構造基準検定を合格したとみなします。このようにして検定の効率化を図る制度が型式承認制度です。

ただしトラックスケールのような大きなはかりになるとさらに事情が変わります。なぜならトラックスケールのような大きなはかりを、わざわざ持ち込んで構造基準検定を実施するのはスペースや手間を考えると、現実的ではないからです。そのためトラックスケールなどひょう量が300kgを超えるものについては、主要部品のアセンブリ(組み合わせ)による型式承認が適用されています。

これは個々の主要部品(ロードセルや指示計など)が国際法定計量機関(OIML)の技術基準に合格していれば検定品としての使用を認めるというものです。

トラックスケールについてはひょう量や目量ごとにOIMLの基準に合格した指示計とロードセルに架台の構造(埋込式や地上式など)のアセンブリで型式番号を取得しています。そのため実際の製造時には器差検定だけで検定品として使用できるようになります。

ダイトクのトラックスケールはパッド式のRWシリーズ及びセパレート式トラックスケール以外は全てこの型式承認を受けた検定品となっています。

検定を受けなければならないのはどんなとき?

検定を受けなければならないのは、検定品として使用する予定の計量器を作ったときや現在使用中の計量器を修理または改造したときです。

作ったというのは文字通り、新しく特定計量器を製造したという意味です。修理したというのは、主要部品となるロードセルや指示計、和算箱などの一部を交換・修理した場合を指します。これはあくまで主要部品の交換・修理だけを指しており、例えば指示計のディスプレイやボタンの交換、伝票を印刷するプリンタの交換など、計量の精度に無関係な部品の交換・修理は、この場合に含まれません。

一方改造したというのは、主要部品の全部もしくはほとんどを交換・修理して従来使っていた型式承認番号が使用できなくなり、新たな型式承認番号で検定を受ける場合に当てはまります。

したがって製造時に検定に合格していたとしても、故障などで修理や改造を行った場合は、再度検定を受けて合格しなければ検定品として取引や証明に使うことはできません

ダイトクでは修理・改造の作業に入る前に、検定が必要なことやそのために必要な費用について説明させていただいております。

2年に1回が義務定期検査・代検査

検査で求められる精度

年季の入ったトラックスケール
「作ったとき」「修理したとき」「改造したとき」に受けなければならない検定とは違い、定期検査は「作ったあと」「修理したあと」「改造したあと」に2年に1回の頻度で受けなければなりません。

なぜならどんなに精度の高い計量器でも、繰り返しの使用や経年により、精度が悪くなっていくことがあるからです。そのため取引や証明に耐えうる精度を維持できているかどうかを、定期的に確認する必要があるのです。

定期検査は法律で義務付けられており、定期検査を受けずに取引や証明に使用した場合は、罰則として6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金を課せられる可能性があります。ただ定期検査で求められる特定計量器の精度(器差)は、検定の2倍となり合格範囲が広くなります

一般的なトラックスケールの場合は検定の際に使用する分銅がひょう量(最大積載重量)の100%であったのに対し、定期検査の際に使用されるのはひょう量の60%の分銅とされています。検定公差は目量(1目盛あたりの重量)に応じて0.5倍〜1.5倍に定められていましたが、定期検査ではその2倍の1.0倍〜3.0倍となっています。

したがって例えばひょう量が40t、目量が10kgのトラックスケールを検査する際は、最大24tの重りを載せた時に±30kg以内に収まっていれば合格です。

定期検査と代検査の違い

検査には2つの種類があります。それは定期検査(法定検査に同じ)代検査(法定代行検査)です。両方とも検査の内容や法的効力は同じですが、検査を行う組織に違いがあります。

定期検査は各都道府県の計量検定所や政令指定都市・中核市などの計量特定市といった公的機関が行う検査を指します。公的機関による検査になるため、比較的費用は安く済みます。

ただし、基本的には計量検定所や計量特定市の役所が営業している平日に検査が行われるうえ、自治体によっては検査周期が決まっている場合などもあります。そのため対応してもらえる時期や平日では都合がつかない事業者や、検査を受け忘れていて今すぐ検査を受けておきたい事業者などは、不便を感じるケースも少なくありません。

そのために代検査があります。代検査は国家資格である「計量士」の有資格者が行政の定期検査に代わって行う検査を指します。民間企業による検査なので、定期検査に比べれば確かに費用は高くなります。

しかし休日対応を始め、臨機応変に検査ができるため、定期検査が受けられない事業者にとってはメリットが大きいと言えるでしょう。なおダイトクではこの代検査にも対応しています。

また、定期検査の周期外であっても検査がしたいという場合は自主検査という選択肢もあります。自主検査とは法律のルールとは別に、ユーザー様が任意で自主的に行う検査を指します。

常に精度の高いはかりを使うというのが自主検査を受けるユーザー様の主な目的で、1年ごとに自主検査⇒法定(代)検査⇒自主検査⇒法定(代)検査といった周期で検査を行うケースが多い傾向にあります。

ダイトクではこのほかに、工程の間などで使用する非検定品のはかりの検査にも対応しています。

臨機応変に対応できるのが、民間企業の強みです!

●検査はユーザーの責任で行われるもの

実は検定と検査には、求められる精度以外にも違いがあります。それは誰に責任があるかです。検定を受ける責任は、「作った」「修理した」「改造した」事業者にあります。例えばダイトクが検定品として販売するトラックスケールを製造した場合、そのトラックスケールを検定に出して検定証印または基準適合証印を取得するのはダイトクの責任です。

これに対して検査を受ける責任は、特定計量器を取引や証明に使っているユーザー様にあります。ダイトクなどの特定計量器の販売事業者は特定計量器を販売した際、公的機関に対して「いつ、どこの誰に、どんな特定計量器を納品した」という届出をします。

計量検定所や検定協会はこの届出をもとに、定期検査のお知らせを販売・製造事業者宛ではなくユーザー様宛に送るのです。これが検査がユーザー様の責任で行われるものである理由です。

ユーザー様自身もユーザー様の顧客も、関係者全てが安心・信頼して製品の取引・証明をするためにも、検査を受け、合格しておく必要があります。「検査の存在を知らなかった」「受けたことがなかった」という人も、今後は忘れることなく検査を受けるようにしましょう。

求められる精度 受ける
タイミング
責任 その他
検定 とても高い ・作ったとき
・修理したとき
・改造したとき
メーカー等
検査 定期検査 高い 2年に1回 ユーザー ・公的機関が行う
・低コスト
・あまり融通が利かない
代検査 ・民間企業が行う
・比較的高コスト
・休日対応も可

検査を受けたことがない場合はダイトクへご連絡ください!

公正・平等な取引をするためには、特定計量器は高い精度を維持している必要があります。そのための試験が検定であり検査です。ダイトクでは代検査にも迅速かつ柔軟に対応しているため、ユーザー様の営業に支障がない形での検査が可能です。

「検査の存在を知らなかった」「受けたことがなかった」というユーザ様ーは、ぜひ一度ダイトクまでご連絡ください。