各都道府県の計量検定所など公的機関の検定をクリアしているトラックスケールであれば、多くの計量器メーカーが他社製のトラックスケールのメンテナンスや修理に対応しています。しかしトラックスケールのメンテナンスと修理において問題になるのは、「対応しているかどうか」ではなく「どう対応しているか」です。
ここではトラックスケールのメンテナンスと修理においてダイトクが大切にしている考え方を説明するとともに、具体的にどのような対応ができるのか、他社製のトラックスケールとダイトク製のトラックスケールでは対応にどのような違いがあるのかについても解説します。
トラックスケールのメンテナンス・修理はスピードが命
プロだからこそできるトラックスケールのメンテナンス
「メンテナンスは必要?使用上の注意は?トラックスケールの正しい使い方」でも紹介したように、ユーザー自身でもある程度のメンテナンスは可能です。例えば埋込型トラックスケールであれば、コンクリート製の基礎部分とトラックなどが載る計量台部分の間に詰まった泥やゴミを取り除いたり、 排水ポンプの動作を確認したりといったメンテナンスは、ユーザー自身でも簡単に行うことができます。
しかしユーザー自身で行うのが難しいメンテナンスもあります。例えばジャッキアップによるロードセルのグリスアップです。トラックスケールの計量は、計量台の内部に組み込まれた4〜6つのロードセルという質量を検出するセンサーによって行われています。
トラックなどが計量台に載ると、計量台の鉄板とロードセルの間に摩擦が生じますが、これが何百回、何千回と繰り返されると、ロードセルが傷みやすくなる場合があります。
グリスアップがされていないからといってトラックスケールが正常に動作しないわけではありませんが、グリスアップをしておいた方がロードセルの傷みを軽減することができます。そのために専用のジャッキを使ってジャッキアップを行い、ロードセルにグリスを塗るのです。
あるいはロードセルが正常に動作しているかをチェックするのも、プロだからこそできるメンテナンスの一つです。
ロードセルの動作チェックには、都道府県の計量検定所などの検査をクリアした「基準分銅」と呼ばれる重りを使いますが、正常に動作しているトラックスケールにこの基準分銅を積んでいくと、重量が直線的に増加していきます。しかし4〜6つあるロードセルのうちいくつかが傷み始めていると、重量が直線的に増加しなくなります。
トラックスケールメーカーなどのプロはこれに気づくと、さらに調査を進めて傷み始めているロードセルを特定し、ユーザーに対してロードセルの交換を提案することができます。これはグリスアップのように「やらなくても動作に大きな影響はない」というものではありませんから、大切なメンテナンスの一つと言えるでしょう。
ダイトクが大切にしているスピードが命という考え方
このようにトラックスケールのメンテナンスにはユーザー自身ができるものと、プロでしかできないものがあります。また修理に至っては専門的な知識や技術、そして都道府県への届出が必要なため、プロにしかできません。逆に言えばこれらはトラックスケールのメーカーであれば、基本的にどこでもできる対応で、もちろんダイトクでも対応できます。
しかしダイトクでは基本的なメンテナンス・修理対応を丁寧に行うだけでなく、「とにかく一刻も早い対応を」という考え方を大切にしてきました。なぜならトラックスケールが経年劣化や、地震・大雨などの災害で正常な計量ができなくなったとき、最も重要なことは一刻も早い復旧だからです。
例えば大きな地震が発生して、ロードセルが故障し、トラックスケールが使えなくなったとしましょう。これがリサイクル事業を営むユーザー様であれば、その時点で荷受け・出荷ができなくなり、営業がストップしてしまいます。そのユーザー様の事業所で荷受けができなければ、顧客は荷受けができる別のリサイクル事業者のところへ荷物を持ち込みます。
結果、トラックスケールが使えない時間が長引くほど、ユーザー様は本来得られたはずの利益を失い続けることになるのです。また顧客側にとってユーザー様とは別の持ち込み先の選択肢が増え、復旧後の利益減につながる可能性さえあります。
もしくはこれが化学工場などの製造業でも、正確な計量ができなければ荷受け・出荷が停止してしまい、やはり営業に大きな悪影響をもたらします。
そのためユーザー様にとって、トラックスケールのメンテナンス・修理対応はできるだけ早く行われる必要があり、最悪でも翌日、可能であれば当日のうちに正常な計量ができるようにしなければなりません。だからダイトクは何をおいてもスピードが命であると考えているのです。
他社で1週間の修理対応も、ダイトクなら3日
実際、他社では「部品の手配に1週間はかかる」と言われて困り果てたユーザーが、ダイトクに修理依頼をかけたところ、3日で復旧できたというケースがあります。このケースは他社製のトラックスケールでしたが、他社製だったから3日かかったというわけではありません。
このケースでは現場調査や修理後にかかる費用の説明、見積もりや稟議に時間がかかってしまい、そのために3日という時間が必要でした。他社製トラックスケールであっても、状況やユーザー様側の協力によっては当日や翌日の復旧も十分可能です。
あるいは故障の内容によっては、応急復旧後に修理による対応ではなくトラックスケールを丸ごと入れ替えるという対応が必要な場合もあります。その際は概ね以下のような作業が必要になります。
- 1.トラックスケールを解体し、埋込型の場合は地上に引き上げる。
- 2.計量台などの鉄板はスクラップ化しやすいように切断する。
- 3.埋込型の場合は基礎部分の泥やゴミをかきだす。
- 4.新品のトラックスケールを設置する。
一般的にトラックスケールメーカーはこの工程を1〜3で1日、4で1日の2日間かけて行います。もちろんその間トラックスケールは使えないため、前述したリサイクル事業所や化学工場などは営業をストップせざるを得ません。しかしダイトクであれば、これを1日だけで行います。1日早く営業が再開できるため、そのぶんだけ利益減を抑えることができるのです。
なぜダイトクはスピーディなメンテナンス・修理が可能なのか?
他社製品が壊れた時の具体的な対応
ダイトクはスピーディなメンテナンス・修理を実現するために、他社製品の修理依頼については状況に応じて次のような形で対応しています。
その都度部品を取り寄せたり、わざわざ新品を用意したりせず、自社製品や中古品をうまく活用して対応しているため、スピーディなメンテナンス・修理対応が可能になっているのです。
上図の対応方法で大半の他社製トラックスケールに対応できますが、特殊なロードセルが使用されていて在庫のロードセルがどうしても使えないといった場合には対応ができない例外もあります。
しかし使っているトラックスケールが例外に当てはまるかどうかの判断はユーザー自身では至難の技です。一度ダイトクに連絡をいただければ、現地調査も含めた迅速な対応により、問題解決に努めます。
他社製品の修理を依頼する際の注意点
ただしダイトクに他社製トラックスケールの修理を依頼する場合、注意が必要な点があります。それはコストです。製造元が修理対応するのに比べると、ダイトクが他社製トラックスケールの修理対応を行う方が修理コストがどうしても高くなってしまうことがあるのです。
なぜならダイトクが対応した場合、たとえ指示計だけ、ロードセルだけ壊れているケースでも、主要な部品すべてを交換しなければならないことがあるからです。これには国が定めているトラックスケールの修理をする際のルールが影響しています。キーワードになるのは「型式承認制度」「修理検定」「改造(新品)検定」の3つの言葉です。
●型式承認制度
取引や証明に使われる計量器は特定計量器と呼ばれ、30項目以上の構造に関する試験などをクリアして「型式承認番号」(製造許可番号のようなもの)を取得したうえで検定に合格しなければ実際に使用できません。しかしトラックスケールなどの大きな計量器は、それを計量検定所などに運び込むわけにはいきません。
そのためトラックスケールはロードセルや指示計などの個別の主要部品に対して国際基準の試験を行います。そしてそこで合格した部品で構成されたトラックスケールには会社ごとに型式承認番号が与えられます。そうして初めて特定計量器として製造し、検定を受けられるというのが現在のルールになっています。
本来特定計量器の検定は、製造年などの表記事項や材質や耐久性などをチェックする構造基準検査と許容誤差をチェックする器差検査の2つから構成されていますが、この型式承認番号を取得したものに関しては、一部を除き構造基準検査が免除されます。これにより計量器を製造するたびに計量検定所などに運び込む手間を省いているのです。
●修理検定と改造(新品)検定
使用中の特定計量器が故障してロードセルや指示計などの主要部品を新品に交換すると、製造時の検定や定期検査とは別に新たに検定を受けなければなりません。その際に受ける検定の種類は2種類あり修理検定と改造(新品)検定になります。修理検定は、あくまでロードセル1つの交換や、指示計、和算箱だけの交換を指し、元々の型式承認番号を継承して検定を受けます。ロードセル全てや、主要部品全ての交換を行い、従来の型式承認番号に適合しない新たな型式承認番号で検定を受ける場合は制度上改造(新品)とみなされ、改造(新品)検定を受けることとなります。
改造(新品)検定は都道府県に届出を出している届出製造事業者が対応する型式承認番号をもっていれば検定を受検する事ができますが、修理検定は元々製品に与えられている型式承認番号を持つ製造元が主導して受けなければなりません。
●製造元が修理する場合、ダイトクが改造する場合
「型式承認」「修理検定」「改造(新品)検定」の3つの言葉の意味を踏まえたうえで、製造元とダイトクのコストの違いを考えてみましょう。例えば経年劣化や落雷・水没などで全ての部品を交換しなければならないケースでは製造元もダイトクも費用面での条件は全く同じですが、ロードセルが1つだけ故障した場合、製造元が対応すればロードセル1つの交換と修理検定だけで済みます。
一方製造元でないダイトクが対応すると修理検定ができないため、改造(新品)検定に該当する作業を実施する必要があります。そのためロードセル1つの交換ではなく、ダイトクが持っている型式承認に適合するように主要部品全ての交換を行うことになります。そのぶんだけ部品代がかさむため、結果としてコストが膨らんでしまう場合があるのです。
ただし、長期間使用しているトラックスケールの場合は、製造元が対応してもダイトクが対応しても、コスト面での違いはほとんどありません。なぜならダイトクに限らずどのメーカーでも、長年使用しているトラックスケールに修理・メンテナンスが必要になった場合は、主要部品を全部交換する改造の提案をするからです。
トラックスケールに搭載されているロードセルの寿命はトラックの乗り降り回数によって決まります。そのため、ある年にロードセルが1本壊れて修理をしても、結局翌年に他のロードセルや指示計が壊れて修理になりがちです。しかしこれではその都度修理検定が必要になり、そのぶんだけ費用もかさみます。このような非効率な出費を防ぐために、メーカーは一度に主要部品を全部交換する改造の提案をするのです。
結果、製造元が対応してもダイトクが対応しても改造の対応になるため、コスト面での差はほとんどなくなるというわけです。
●修理コストか、早期復旧か?
とはいえ確かに製造元に修理を依頼した方が、修理コスト自体は安く済むこともあります。しかしここで知っておくべきなのは、対応の速さはときに修理コストの安さよりも価値があるということです。
仮に製造元に修理を依頼して、復旧までに1週間かかるとします。これに対してダイトクに依頼をすれば3日で対応できるとしましょう。その差は4日間です。
修理の依頼先を決める際は、製造元とダイトクの修理コストの差だけでなく、復旧までの時間の差とその差によって生じる利益減も考慮する必要があります。なぜなら修理コストの差があったとしても、対応スピードの違いから生じる利益減がその金額以上なのであれば、最終的なコストはダイトクに依頼した方が安く済むという計算になるからです。
このように、スピーディな対応にはときに修理コストの差を超えて、ユーザー様の利益減を食い止める効果があるのです。そのためメンテナンス・修理を依頼する際は、「どれだけスピーディに対応してくれるか」が非常に重要になると言えるでしょう。
「とにかく計れるようにしてほしい」ならダイトクにご連絡ください!
ダイトクは他社製トラックスケールのメンテナンス・修理にも、迅速に対応できる体制を整えています。修理に関しては確かに製造元が対応する方が修理コストは安くなる事もありますが、「とにかく早く計れるようにしてほしい」ということであればダイトクにご連絡をいただければ、どこよりも早く対応が可能です。
またこれはあくまで他社製トラックスケールの場合です。修理を期にダイトク製のトラックスケールに入れ替えをしていただければ、それ以降の故障時は修理検定での対応が可能になるため、その後は修理コストを安く押さえながらダイトクのスピーディな対応を提供することができます。