ダイトクではトラックスケールの製造・販売以外にも、トラックスケールを含めた様々なはかるための機器をワンストップサービスでレンタルしています。
今回はその中から、放射能の除染現場や除染現場からのガレキ・スクラップを受け入れるヤードや工場などで使われる、放射線測定器について紹介します。
放射線測定器の種類と用途
放射線と一口に言っても、放射線量の高い・低いもあれば、アルファ線・ガンマ線・ベータ線・エックス線という種類もあります。そのため放射線測定器も、どのような放射線を測定するのかによって異なる種類の機器を使わなければならないケースがあります。
以下では4つの放射線測定器の種類を紹介するとともに、それぞれに最も適した用途を紹介します。
シンチレーション式放射線測定器
ガンマ線とエックス線に反応して発光する性質を持つ物質(シンチレーター)を利用して、放射線量を測定する仕組みの測定器がシンチレーション式放射線測定器です。シンチレーターに使われるのはNaI(ヨウ化ナトリウム)が一般的ですが、CsI(ヨウ化セシウム)が使われるケースもあります。
シンチレーション式放射線測定器は仕組み上ガンマ線とエックス線以外の放射線を検知できませんが、その代わり微弱な放射線を検知できるため、一般環境の空間放射線量率を測定するのに適しています。
例えば放射線量率を測定したい空間がどれだけ汚染されているのかの状況把握に役立つほか、汚染源からの距離によって測定値が変動するため、汚染源の特定にも活用できます。さらなる業務効率改善や管理に!トラックスケールのオプションで紹介したような放射線検知器が放射性物質を検知したため、その発生源を特定するためにシンチレーション式放射線測定器が使われたという実例もあります。
GM管式放射線測定器
空間放射線量率の測定が得意なシンチレーション式に対して、体表面汚染検査を得意とする放射線測定器がGM管式です。これはガイガーミュラー(GM)計数管と呼ばれる部品を使った放射線測定器で、主にベータ線の測定に使われます。
ガンマ線やエックス線の測定にも使えないわけではありませんが、その際の精度はシンチレーション式に劣ります。また空間放射線量率の測定にも使えますが、得てして実際の値よりも大きな測定値が出やすいため、体表面汚染検査が主な用途となります。
例えば2011年の東日本大震災で大きな被害を出した福島第一原発発電所では、作業員等の衣服や体の表面に放射性物質が付いているかどうかを調べるために、このGM管式放射線測定器が使われました。
電離箱式放射線測定器
シンチレーション式と同様に空間放射線量率の測定に適しているのが電離箱式放射線測定器です。
シンチレーション式との違いは、測定できる放射線量のレベルです。比較的微弱な放射線の測定ができるシンチレーション式とは違い、電離箱式は強い放射線しか検知できません。そのため電離箱式放射線測定器は、一般環境よりも放射線の多い特殊な環境で活躍しています。
主な活躍の舞台は、レントゲン機器やCT機器などエックス線を使った装置の製造現場や、それらを使用する医療現場、原子力作業の現場などです。
個人線量計
ここまで紹介した3種類の放射線測定器は、空間や体表面の放射線量を直接測定することができました。これらに対して個人線量計は直接放射線量を測定するのではなく、装着した人が一定期間中にどれだけ放射線に被曝しているかを測定するためのものです。
個人線量計にはいくつか種類があり、光刺激ルミネッセンス線量計や蛍光ガラス線量計などと呼ばれるものがありますが、これらはいずれもその場で測定値を読み取ることはできず、専門の企業に読み取りを依頼する必要があります。一方電子式線量計と呼ばれる機種もあり、この機種であればその場で測定値をデジタル表示させることが可能です。
実際に使われている場所は主に原子力発電所などの放射性物質を取り扱う施設です。というのも原子力発電所などの放射線被曝の可能性がある区域は管理区域と呼ばれますが、この管理区域に立ち入る際は個人線量計を装着し、立ち入り期間中の被曝線量を測定することが義務付けられているのです(放射線障害防止法第20条など)。
このほか福島市のような特殊な場所においては、住民に個人線量計を配布し、個人の被曝状況を測定するために使う場合もあります。
ダイトクでレンタル可能な放射線測定器
ここまで紹介してきた4種類の放射線測定器のうち、ダイトクではシンチレーション式放射線測定器を2機種、その他の種類をそれぞれ1機種ずつレンタルしています。以下では各機種の特徴を解説しておきましょう。
【シンチレーション式】5000
高い精度を発揮するNaI(ヨウ化ナトリウム)をシンチレーターに使った放射線測定器で、日本国内の放射線施設だけでなく、世界各国でも安全管理のために使用されているロングセラーモデルです。単三アルカリ電池6本で200時間連続計測が可能で、ACアダプタを使えば長期連続計測も可能です。
空間放射線量率の測定だけでなく、一定期間中の被曝量を示す積算線量率測定など、合計4種類の測定モードを実装。様々な場面で活躍してくれるオールマイティなシンチレーション式放射線測定器です。
【シンチレーション式】PA-1000 Radi
精度はNaI(ヨウ化ナトリウム)に劣るものの、コストパフォーマンスと丈夫さに優れたCsI(ヨウ化セシウム)をシンチレーターに使った放射線測定器です。放射線量の安全性や危険性を測定するための機種ではないものの、専門的な知識がなくても微弱なガンマ線を簡単かつ高精度で測定することができます。
また放射能判定キットPA-Kを使えば、出荷前の食品や農地などの土壌の放射線検査に活用することもできます。
【GM管式】TGS-146B
TGS-146Bは日立アロカメディカル製のベータ線体表面汚染検査における代表的なモデルです。検出器に日立アロカ独自のφ50mm大面積端窓形有機GM管を使用することで測定の効率を向上させているほか、警報機能や積算係数機能、メモリ機能など必要十分な機能を搭載しています。
【電離箱式】451P
診断画像処理、放射線安全管理、および腫瘍品質保証ソリューションなどを提供するアメリカのFluke Biomedical社製の電離箱式放射線測定器。同社がVictoreen社という名前で営業していた頃からのモデルで、かつては国内トップシェアを誇っていた代表作です。
【個人線量計】RadEye G-10
個人線量計として積算線量が測定できるだけでなく、エネルギー補償型のGM検出器を採用することでGM管式放射線測定器としても利用できるハイブリッドモデルです。さらにPCへのデータ転送機能も備えているため、緊急時以外はエリアモニタとしても使用できます。省エネ設計で、単四電池2本だけで600時間の測定に耐えます。
また現場での使用を考慮した設計も大きな魅力です。大きくシンプルなボタン構成により、放射線防護服の保護手袋を装着したままでも取り扱いが可能。加えてバイブレータとイヤホンによるアラームが設定できるため、騒音環境などでも確実にアラームに気づくことができます。
現場に必要な機器はダイトクでまとめてレンタル
トラックスケール以外にも現場では様々なはかるための機器を必要とします。今回紹介した放射線測定器は、必須の機器とは言えませんが、万全なリスク管理を目指すのであれば導入するべきでしょう。
しかしこうした機器が必要になるたびにあちこちの業者に発注をかけていたとしたら、余分な時間と手間は増える一方です。そうした無駄を最小限に抑えたいのであれば、ぜひダイトクへご連絡ください。お客様に必要な製品を、まとめてご提案いたします。