数年前、解体現場などで中国製の格安トラックスケールが出回り、話題になりました。国産メーカーで導入すれば数百万円かかるようなものを、数十万円で提供していたので、コスト削減を目的に導入した企業も少なくありませんでした。

今では中国製トラックスケールの流通も落ち着きましたが、もしこのトラックスケールを取引や証明に使っていれば、計量法違反として摘発される可能性があります。というのも基本的に海外製のはかりは、国内の証明や取引には使えないからです。

ここでは諸外国のはかりのルールを紹介しつつ、なぜ海外製のはかりを使ってはいけないのかを解説します。

INDEX
  1. はかりのルールは国によってさまざま
  2. 海外製のロードセルが日本で使える理由
  3. まとめ

はかりのルールは国によってさまざま

日本のはかりのルールは1992年に成立した計量法という法律で定められています。しかしそのほかの法律と同様に、計量法も日本独自の法律です。そのため諸外国にも、日本の計量法のように独自のはかりのルールがあります。

以下では日本のはかりのルールを取り仕切っている国立研究開発法人産業技術研究所が公表している「国際法定計量に関する状況報告」をもとに、いくつかの国のルールを紹介します。

EU諸国内のルールの違い

EU旗

EU(欧州連合)は1993年11月1日に誕生しましたが、30年近く経った今でも加盟国内でのはかりのルールの違いが残っています。

例えばフランスでは日本での検定に該当する部分を民間事業者が行う制度が普及している一方、ドイツでは日本での定期検査に該当する部分の多くを自治体が担当している状況が続いています。英国に至っては、そもそも定期検査の制度が存在していません

このようにEU内でもはかりのルールに違いがあるのです(検定と定期検査についての解説ははかりを扱ううえでとっても大切な検定と検査の話を参照)。

アメリカでは「メートル」「キログラム」が浸透していない

自由の女神

常に世界の最先端を走っているイメージのあるアメリカですが、はかりのルールに関しては出遅れていると言わざるを得ません。というのも憲法による地方自治が前提となっているので、アメリカ合衆国全体を束ねるルールは存在せず、各州によってルールが定められています。

そのため今になってもメートルキログラムといった国際的に標準とされている単位が浸透しておらず、フィートポンドといった単位が使われています。

インドネシアのルールはまだまだ発展途上

インドネシア国旗

近年に急速に発展し、人口と経済の規模を拡大しているインドネシアですが、国土の広さがあだになり、先進諸国のようなはかりのルールがまだ十分に機能していないのが現状です。

しかし経済省傘下の計量研修センター(MTC)が活発な国内向け研修活動を行なったり、ASEAN地域のルール整備のための連携を主導するなど、今後の動向に期待が持てる状況でもあります。

各国のルールに適合していなければ使えない

このように各国でルールが異なっているため、ある国のルールをクリアしているはかりだとしても、別の国に移動すれば使えなくなってしまいます。インターネットが普及してグローバル化が進む現代ですが、はかりのルールに関してはまだまだ各国のローカルルールが重要なのです。

海外製のロードセルが日本で使える理由

ルール

このようにはかりそのものには各国のローカルルールが適用されますが、はかりに使う部品に関しては、国際的な規格OIML(International Organization of Legal Metrology)が普及しています。

計量器の技術基準や適合性評価の手続きを国際的に調和させるために生まれたOIML条約は、1955年に22カ国の参加を得て締結。2014年3月現在は1961年に加盟した日本を含め、正加盟国は59カ国、準加盟国は67カ国となっています。

日本の計量法では型式承認制度と言って、トラックスケールのような大きなはかりについては、個々の主要部品(ロードセルや指示計など)が基準を満たしていれば、検定合格品としての使用を認めるというルールがあります。この基準こそがOIML規格なのです。

国産のトラックスケールに海外製のロードセルが組み込まれていることがありますが、それはこのOIML規格があるからなのです。

まとめ

国内での取引・証明にはかりを使うのであれば、日本の計量法に適合したはかりを使用する必要があります。

また手抜き一切なし!ダイトクのお客様第一なトラックスケールの作り方でも紹介したように、海外製のトラックスケールの中には材料が貧弱で実用に耐えないものも少なくありません。そのため実用面でも国産メーカーのはかりの方がコストパフォーマンスが高いと言えます。はかりを導入する際はくれぐれも注意しましょう。

ダイトクのトラックスケールはもちろん日本の計量法をクリアしています。トラックスケール以外にも様々なはかりに対応できる体制を築いているため、ご入用の際はぜひダイトクまでお問い合わせください。