健康診断で引っかかってから毎日乗るようにしている体重計。料理をするときに自分や奥さんが使っているキッチンスケール。日常の生活の中にも、はかりを使う機会は意外とあるものです。

実はこうした家庭で使うはかりにも、計量法が関係していることをご存知でしょうか。

ここでは、誰もが使ったことのあるはかりをきっかけに、計量法に定められている「家庭用特定計量器」の規制について紹介します。知っておくだけで、どこかで雑学の自慢ができるかも……。

INDEX
  1. 家庭で使うはかりには「丸正マーク」がついている
  2. 計量法が定める「家庭用特定計量器の規制」とは?
  3. 国や業者が守っている、家庭の計量
  4. 「家庭用特定計量器」と「特定計量器」の違い
  5. まとめ

家庭で使うはかりには「丸正マーク」がついている

丸正マーク

ご自宅で使っている体組成計(体重計も含む)、赤ちゃんの体重管理をするベビースケール、料理の材料などを計るキッチンスケールの裏側を見てみてください。

ほとんどのものには上の写真のような丸正マークが付いているはずです。

お酒もしょうゆも牛乳も!日常生活の安心を支えている「特殊容器制度」でも丸正マークについては触れていますが、特殊容器精度の丸正マークは、一定の高さまで中身を満たすと、自然に正しい量が確保されるように製造された瓶=一升瓶であることを証明するものでした。

では家庭用のはかりに付いている丸正マークは何を証明するためのものなのでしょうか?

計量法が定める「家庭用特定計量器の規制」とは?

ルール

答えは体組成計、ベビースケール、キッチンスケールの精度を証明するためのものです。

この三種類の家庭用のはかりは、計量法の第53条~56条で定められている「家庭用特定計量器の規制」の対象で、明確に精度の基準が設定されています。

例えば体組成計の精度が低く、常に実際の体重よりも5kg少なく計量されるとしましょう。健康管理のためにダイエットをしようとしている人がこの体組成計を使えば、「なんだ、意外と自分は太ってないんだ」と勘違いをして、食べ過ぎたり飲み過ぎたりして不健康になってしまうかもしれません。

ベビースケールも同じで、精度が低ければ赤ちゃんの体重管理を正確にできなくなってしまいます。大人に比べて赤ちゃんは繊細ですから、計量結果の誤差が大きな問題につながる可能性も十分あります。

キッチンスケールも料理を失敗する程度なら大した問題ではありませんが、食事療法などで材料の正確な計量が必要な場合は、重大な健康被害を招くおそれもあります。

そのため、計量法の第53条~56条ではいかに当てはまるはかりについて、経済産業省令で定めている「技術上の基準」(JIS B7613:2008)に適合していなければならないという義務を課しています。

体組成計 計量できる最大値(ひょう量)が20kg超え~200kg以下の体重計
ベビースケール ひょう量が20kg以下の乳幼児用体重計
キッチンスケール ひょう量が3kg以下の調理用はかり
参考:計量法第53条第1項、計量法施行令第14条

 

この「技術上の基準」を満たしているという証明が、丸正マークなのです。

国や業者が守っている、家庭の計量

サムズアップをする男性

日本で暮らしていると、体重や料理の材料の重さをある程度正確に計ることができるのは、当たり前のように思えます。しかしそれは、国やメーカー、販売業者がきちんとルールを守っているからこそ、実現できている状況なのです。

実際、経済産業省が2013年から実施している調査によれば、家庭用特定計量器の規制に違反している疑いのあるはかりが確認されています。例えば以下のようなケースです。

・長期在庫品として保管されていたため、性能劣化を起こしていた。
・海外から日本への輸送、あるいは日本国内で運送する際、精密機器としての取り扱いが十分ではなかった。あるいは運送業者への注意喚起が十分ではなかったため、衝撃等の影響により性能劣化を起こしていた。
・「丸正マーク」に対する認識なく、表示をしていなかったり、大きさが不十分であった。
・個人でネット店舗を開設し、何も知らないままに仕入れ、販売を行っていた。
経済産業省HPより抜粋

こうしたケースに関しては、国が是正のための改善指導等を行うとともに、業者もルールを守るために体制を整える努力をしています。

「家庭用特定計量器」と「特定計量器」の違い

家庭用特定計量器は技術上の基準への適合が必要ですが、一度製造され、家庭で使われるようになったものの精度を定期的にチェックするような仕組みはありません。

対して、ダイトクで取り扱っているトラックスケールをはじめとする特定計量器は、技術上の基準に適合していることを検定で証明しなければならないだけでなく、その後定期的に行われる定期検査にも合格しなければなりません。

また、病院や学校などで使われる体重計やベビースケールなども業務用のため、検定付きの特定計量器が使用されており、定期検査が実施されています。

これは特定計量器が、鉄スクラップから食品、飲料に至るまで、様々な取引を正しく行うために必要不可欠な機械だからです。

国の経済を縁の下で支える特定計量器を作る仕事に、私たちダイトク社員一同は誇りを持っています!

まとめ

普段の生活で当たり前のように使っているはかりにも、実はきちんとしたルールが定められています。

これをメーカーや販売業者が守っているからこそ、私たちは何も気にせずに体重や料理の材料などを計ることができているのです。

周りに体重を気にしている人や、料理が好きな人がいたら、ふとした会話の中で雑学として家庭用特定計量器の雑学を披露してみてはいかがでしょうか。

かなりマニアックな知識なので、ウケること間違いなしです!