「はかりなんてどこのメーカーに頼んでも同じだろう」
「それならとにかく安いやつを導入しよう」

そんなふうに思っている事業者様も多いかもしれません。しかし実は「どこのメーカーに頼んでも同じ」ではありません。なぜなら、はかりメーカーによって、製作過程で実施している品質管理が大きく違う場合があるからです。

品質管理がずさんなメーカーでは納品後の早い段階で精度が落ちたり、部品の欠損等が起きる可能性が高くなったりしてしまいます。したがって、はかりを導入する際はメーカー選びも重要な検討事項なのです。

とはいえ、いきなりメーカーの工場に行って、品質管理のやり方をチェックするわけにはいきません。そこで一つの目安になるのが、メーカーの「種類」です。

はかりメーカーには、国内では「届出製造事業者」と、より品質管理が徹底された「指定製造事業者」があり、そして海外に拠点を置く「外国製造事業者」の3種類が存在します。

ここでははかりメーカーの種類を紹介するとともに、それぞれの品質管理のレベルについても説明します。

はかりメーカーの種類

製造事業者の種類

はかりメーカーは、大きく上図の3種類に分けて考えることができます。国内には指定製造事業者とそれ以外の届出製造事業者があり、これらに加えて海外に製造工場を置く「外国製造事業者」があります。

はかりメーカーとして取引・証明に使う特定計量機を製造・販売等するには、日本国内のルールにのっとった型式承認を受ける必要があります。

型式承認については、はかりを扱ううえでとっても大切な検定と検査の話でも詳しく説明していますが、簡単に言えば公的機関から「定められた基準の製品を作っている」というお墨付きをもらうことです。

届出製造事業者 型式承認の取得
外国製造事業者
指定製造事業者 型式承認の取得+高水準の品質管理

届出製造事業者と外国製造事業者はいずれもこの型式承認を受けて法令上は「承認製造事業者」、「承認外国製造事業者」と呼ばれます。この2つの違いは国内ではかりを作っているか、海外ではかりを作って日本に輸出しているかという点です。

いっぽうで、指定製造事業者は型式承認を受ける以外に、もう一つハードルをクリアしたメーカーです。というのも指定製造事業者になろうとすると、ただ型式承認の基準をクリアする製品を作るだけでなく、品質管理の面でも厳しい基準をクリアしなければならないからです。

どれくらい厳しいのかを、以下で見ていきましょう。

「指定製造事業者」になるまでの道のり

道のり

指定製造事業者についてのルールは、指定製造事業者の指定等に関する省令に定められています。

近年の改正により、指定を受けるためにはISO9001(2015年版)の取得が条件となり、取得していない事業者はISO9001に準じた品質管理体制を整えなければならなくなりました。

ISO9001の取得はそれだけでコンサルティングサービスがあるほどややこしく、手間と時間のかかる作業ですが、指定製造事業者になるにはさらに以下の7つの項目を満たしている必要があります。

品質管理体制
品質管理責任者
材料、部品等の購買
工程管理
完成品管理
製品の識別及び工程訴求可能性
製造設備及び検査設備

例えば品質管理推進責任者の項目では、責任者が以下の8項目の役割を果たしていなければならない、と定められています。

(1)品質方針及び品質管理に関する計画の立案及び推進
(2)社内規格の制定、改正等についての統括
(3)完成品の品質水準の評価
(4)品質管理の実施に関する指導及び助言並びに部門間の調整
(5)特定計量器に係る不適合及び是正処置に関する指導及び助言
(6)就業者に対する品質管理に関する教育訓練の推進
(7)外注管理に関する指導及び助言
(8)内部監査の推進

「材料、部品等の購買」「外注管理」においては、発注先・外注先をどのような基準で選んでいるか、品質を管理するために発注先・外注先にどんなことを要求するのかといった社内ルールを定めなければなりません。

このほかの項目でも、工程や完成品、不適合品などあらゆる業務に関する社内ルールを定め、都度記録と管理をしていくことが求められます。

しかも一度指定製造事業者になれても、定期的な外部監査が入るため、常に同じ水準の管理体制を維持し続ける必要があります。ダイトクでは毎年大阪府計量検定所による立ち入り検査を受け、品質の確認をして頂いております。

一言で言ってしまえば、とにかく「ものすごく大変」なのです。

指で丸をつける作業服の男性

しかしはかりメーカーにトラックスケールなどを発注するお客様の立場からすれば、徹底した品質管理のもとではかりが製作されるわけですから、指定製造事業者ではないメーカーに発注するよりも失敗がありません。

指定製造事業者は納品スピードの点でも優っています。他の製造事業者なら、納品する前に公的機関で検定を受けて「検定証印」をもらわなければなりません。

いっぽう、指定製造事業者は検定に相当する自主検査を行い、「検定証印」と同様の法的効果を持つ「基準適合証印」を製品に付けることが認められています。そのぶん製作⇒重量調整⇒自主検査の流れがスムーズになり、より早く納品できるというわけです。

また自社検定ができるということは、公的機関に検定を出す際に必要な手数料が不要になるということです。そのためより良い製品をより安く提供できるのです。

メーカー側からすれば「ものすごく大変」ですが、お客様にとっては指定製造事業者に発注するメリットのほうが大きいのです。

まとめ

確かに、型式承認を受けている国内メーカーや外国製造事業者であれば、一定の品質は公的に保証されていると言えます。

しかしだからといって、検定をクリアしたはかりが全て同じような品質だというわけではなく、メーカーによってある程度の差があります。

いっぽうで、指定製造事業者の認定を受けるためには、非常に厳しい水準をクリアしなければなりません。そのため指定製造事業者の認定を取得しているメーカーが作るはかりは、品質がおのずと高くなります。

このようにはかりはメーカーの「種類」によって、品質管理にが生まれます。

したがって、より品質管理が徹底されたはかりを導入したいのであれば、指定製造事業者の認定を受けているかどうかをメーカー選びの基準にすることをおすすめします。

ダイトクは2010年に「指定製造事業者」となり、今なお認定を維持しています。今後も指定製造事業者として最高のはかりを作っていきますので、何卒よろしくお願いいたします!