缶コーヒーの内容量、スーパーに並んでいる肉や魚の重量、車に給油するガソリンのリッター数……私たちの生活のなかには、様々な数字が深く関わっています。実はこうした数字は「商品量目制度(しょうひんりょうもくせいど)」というルールにもとづいて記載されているんです。

私たちが缶コーヒーや肉、魚、ガソリンなどを安心して購入できているのは、商品量目制度がきちんと守られているから。ここではこれがどんな制度なのか、どんなふうに生活に関わっているのかをご紹介します。

実は「商品量目制度」は生活のあちこちに関わっている

商品量目制度とは?

天秤

商品量目(しょうひんりょうもく)とは、各商品の内容量(g、mlなど)を指します。商品量目制度とは計量法第10条から第15条で決められているルールのことをいい、以下の商品について正確に計量するよう定めています。

・精米および精麦
・豆類(未成熟のものを除く。)及びあん、煮豆その他の豆腐の加工品(1)加工していないもの
・豆類(未成熟のものを除く。)及びあん、煮豆その他の豆腐の加工品(2)加工品
・米粉、小麦粉その他の粉類
・でん粉
・野菜(未成熟の豆類を含む。)及びその加工品(漬物以外の塩蔵野菜を除く。)(1)生鮮のもの及び冷蔵したもの
・野菜(未成熟の豆類を含む。)及びその加工品(漬物以外の塩蔵野菜を除く。)(1)缶詰及び瓶詰、トマト加工品並びに野菜ジュース など全40分類
その他のものについては経済産業省HP

なおこれらの商品は「特定商品」と呼ばれます。

あれもこれもそれも、商品量目制度で決まっている

色々な食品

特定商品の内容を見ればわかるように、商品量目制度は私たちの生活のあちこちに関わっています。例えばスーパーが精肉を販売しようとするのであれば、同制度で定められている以下の「量目公差」の範囲内に収まるよう計量しなければなりません。

商品量目制度1

出典:経済産業省

例えばパッケージに200gと記載しているにも関わらず、本当は195gしか入っていない場合、量目公差の2%よりも誤差が大きくなっています(200g×2%=4g)。このような状態が続いた場合、そのお店は当局の勧告の対象になってしまいます。

また同じくスーパーが生魚の切り身を販売しようとする場合は、精肉のときとは違う量目公差の範囲内に収まるよう計量する必要があります。この場合の量目公差は下表の通り。

商品量目制度2

出典:同上

先ほどと同じ200gでも、肉ではマイナス4gまでが量目公差の範囲内でしたが、生魚の切り身ではマイナス6gまでが範囲内になります(200g×3%=6g)。このように同じg(グラム)で計量する商品でも、ものによって基準が少しずつ違うのです。

各自治体では上記のような量目公差が各企業で遵守されているかを確認するために、スーパーなどで定期的に商品を買って計量したり、事業所などに抜き打ちで立ち入り検査を実施しています。

※なお、実際の内容量がパッケージに記載している数字以上になっている場合のルールは決まっていませんが、あまりにも多い場合、当局の勧告・指導の対象になります。

「肉・魚のドリップはどう考える?」まで決まっている!

ブロック肉

経済産業省が公表している「計量法における商品量目制度Q&A集」を見ると、「こんなに細かいところまでルールが決まっているのか!?」というくらい、状況ごとの対応についての回答が紹介されています。以下でいくつか見てみましょう。

2.製品由来の液体(肉・魚等の「ドリップ」と呼ばれているもの)を内容量に含めるべきか、除くべきか。
出典:計量法における商品量目制度Q&A集

一度冷凍した肉や魚などを解凍すると、食材の中の水分が外に出て、旨みや栄養素も一緒に流れ出てしまいます。このとき食材から出てくる液体を「ドリップ」といいます。

では一度肉や魚から出てしまったドリップは、商品の内容量として含めていいのでしょうか、それともドリップのぶんは差し引いて改めて内容量の記載をしなければならないのでしょうか。

答えは「商品の内容量として含めていい」です。そのため、ドリップが大量に出ているような値引き品の肉や魚も、わざわざ計り直して内容量を書き直す必要はありません。

1.肉に刺した串や二重包装の内袋(個包装)の重量は、内容量に含めてよいか。
出典:同上

2.骨付き肉の内容量表記はどのように行うのか。骨は内容量に含めてよいか(はじめから骨が付いている場合と、骨に肉を巻いて製造する場合がある)。
出典:同上

「肉に刺した串」も「骨つき肉の骨」も、どちらも食べられないものですが、商品量目制度上これらは別のものとして扱われます。

すなわち「肉に刺した串」は発泡スチロールのトレイなどの風袋と同じ扱いになるため内容量に含めずに計量しなければなりませんが、「骨つき肉の骨」は骨の部分だけを除いて計量できないため内容量に含めて良いとされています。

知っていてもそんなに役には立たない知識ですが(笑)、買い物に行った時に家族や友人にちょっとだけ自慢できます!

まとめ

商品量目制度は普通に生活しているだけでは見えないところで私たちの生活を支えてくれています。もしこの制度が正しく守られていなければ、買い物のたびに「内容量300g」と書かれているお肉を手に「これは本当に300gなのだろうか?実は200gしか入っていないのではないか?」と疑うことになります。

日々のなかで商品のパッケージなどに書かれている「内容量」や「重量」を目にしたとき、たまには商品量目制度の存在を思い出してみてください。もしかしたら、少しだけ目に映る景色が変わるかもしれません。

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