ダイトクの溝川大士社長は、今から7年ほど前に大手センサーメーカーから入社。5年後の2017年4月に現職に就きました。

今回はそんな溝川大士社長に入社してからの歩みと、未来のダイトクへの想いや展望を語ってもらいました。

INDEX
  1. 入社から7年、ようやくみんなの努力が実ってきた
  2. 会社を支えているのは社員、自分は舵を取っているだけ
  3. みんなが気持ちよく働ける「ハコ」を作りたい
  4. ブランド力を上げればダイトクはもっと強くなる
  5. まとめ

入社から7年、ようやくみんなの努力が実ってきた

ゴールに向かって続く足跡

−−−入社から7年、社長になって3年目になりますが、振り返ってみてどうでしょうか?

溝川大士社長(以下、溝川):社員のみんなに協力してもらってきたことが、この2〜3年でようやく形になってきたなと思っています。私が入社した頃は色々な事情で新しいことに挑戦しづらかったり、部署同士の連携が取りづらかったりと、色々な問題を抱えていました。

ただ、今も経営者としては若い方ですが、入社した頃はまだ30歳になったばかりの若造です。一人で何かできるはずがありません。そこで私は全社員にヒアリングをする時間をとってもらい、現場で働く人たちが抱えている不満や、気づいている問題について話を聞いていきました。

正直なところ、創業家の人間としては耳の痛い話もありましたが、みんなが言いたいことを言ってくれたおかげで組織として抱えている問題が浮き彫りになり、どうやって解決していくべきかもはっきりしたんです。

挑戦

−−−その結果として、どんな変化が生まれたんでしょうか?

溝川:自分の頭で考えて、自分がやってみたいと思うことにチャレンジできる土壌ができました。特に営業は「一人ひとりが個人事業主」の精神で、各社員が創意工夫を凝らして働いてくれています。プレス機の取り扱いや、トラックスケールのレンタルサービス、3.11以来需要が伸びている放射線検知器の取り扱いも、社員たちの提案からスタートしたものです。

もちろん「簡易の電気工事」や「お客様の事務所用のお茶・コーヒー・おしぼりの販売」など、途中でやめてしまったものやボツになったアイデアもありますけどね。

あとは部署間での連携が密になりました。かつては営業は営業の仕事、製造は製造の仕事、設計は設計の仕事……といった具合に、各部署が自分たちの仕事に専念しすぎるあまり、結果的にお客様にベストの提案ができていなかったり、最悪の場合はご迷惑をかけてしまったりといったケースがしばしばありました。

しかし今は各部署が他部署への思いやりを持ち、なるべく相手がスムーズに仕事を進められるよう配慮する空気が生まれてきています。

たとえば設計がお客様のところまで足を運び、現場を見たうえで提案を行い、その後の営業の仕事をサポートする、逆に営業が製造のところへ相談に行き、その内容を踏まえてお客様に提案するといったように、部署としてではなく「ダイトク」という一つの組織としてお客様に製品・サービスを提供できるようになってきたのです。

そうやってチームとしての連帯ができてきたからか、今まで言えなかったようなことも社員間、部署間で言えるようになってきました。誰かからミスや問題を指摘されても、それを批判や悪口としてとらえず、改善してより良い方向に進むために必要なこととして受け止める文化が育っています。

こうした変化は売上にも表れていて、7年前と比べると売上は約2倍になっています。

会社を支えているのは社員、自分は舵を取っているだけ

航海に出る帆船

−−−そこまでの結果を出すには、社長も色々と苦労があったのではありませんか?

溝川:いえ、謙遜でも何でもなく、この結果はみんなが頑張ってくれたおかげです。私がやったのはせいぜい舵を取るくらいで、実際に何かを変えたのは社員たちです。

当たり前のことだと思いますが、私は社員全員を尊敬しているんです。仮に私が営業と売上で勝負したら絶対に勝てません。設計や製造に至ってはCADも溶接機も使えませんから、そもそも勝負になりません。情けない話ですが、私は社員がいなければ何もできないんですよ。船長だけの船がどこにも行けないのと同じです。

たしかに先ほども話した入社当初のヒアリングや、会社としての意思決定などは経営者としての仕事です。でも私ができるのはそうやって舵をとるくらいです。

みんなが気持ちよく働ける「ハコ」を作りたい

工場

−−−では今後の経営者としての仕事は何だと考えていますか?

溝川:プロフェッショナルである社員たちがより気持ちよく働ける「ハコ」を作ることです。ここまで話してきたような組織のあり方やシステムという意味での「ハコ」もそうですが、工場や社屋といった物理的な意味での「ハコ」も作っていかなければならないと思っています。

7年で売上が2倍になったと言いましたが、実はその間に社員数は2〜3人しか増えていません。だから人員的にも、スケジュール的にも、社員の肉体的・精神的にも、余裕がなくなってきています。

7年の間に人の出入りもありましたが、この業界には業界経験者がほとんどいません。そのため本来なら丁寧なOJTが必要ですが、現状の弊社では基本的な知識を教えたら、あとは現場の中で自ら勉強して育っていってもらうしかありません。このままではどこかで限界がきます。

「もっと人を雇えばいい」という問題でもなく、現在の本社工場と泉尾工場のスペースでは人が増えても作業をする場所がないんです。

そこで今私が計画しているのが、本社工場と泉尾工場にもう1つ工場を足したくらいの新工場と、新社屋を建設することです。どちらの工場も築40〜50年ですし、本社の立地はお世辞にも交通の便がいいとはいえません。会社として売上を拡大できる土壌ができてきた今だからこそ、より大きくて快適な「ハコ」を作りたいんです。

もちろんそれだけの敷地の土地を確保することや、次の50年も稼働し続けられる工場を作ることは簡単ではありません。特に土地に関しては出会えるかどうかという運もあります。でも社員みんなに気持ちよく働いてもらうために、絶対に実現したい目標です。

ブランド力を上げればダイトクはもっと強くなる

サムズアップするスーツの男性

−−−新工場に新社屋……夢が広がりますね!

溝川:でしょう?でも新工場と新社屋を立ててゴールではないので、組織としてもさらに変わっていく必要があると思っています。具体的には「ダイトク」というブランドの力の向上です。

はかりメーカーとしていい製品を作るのは当然ですが、いい製品を作るにはどうしてもコストがかかります。でもブランド力がないメーカーの製品に高いお金を出そうというお客様は稀です。それはブランドとしての信頼がないからです。

もちろん今でもダイトクは製品力やサービス力で多くのお客様から支持していただいています。しかし完璧な製品、完璧なサービスを提供できているかというとそうではありません。

ベンツやポルシェ、ルイ・ヴィトンやシャネルといったブランド力を持つ企業は、製品にしろ、サービスにしろ、常に完璧を追求しています。だからこそ世界的に高い評価を受けており、だからこそ価格が高くても買ってもらえるわけです。

弊社が目指したいのは、こうしたブランド力です。私は経営者として組織的、物理的な「ハコ」を整えます。だから社員にはお互いを思いやる心を持って連携し、より完璧な製品・サービスを目指して欲しいと思います。余裕がないなかでキツいのは重々承知していますが、みんなで力を合わせて乗り越えていきたいですね。

まとめ

コツコツと積み重ねてきたものが、ここ数年で結果につながっている実感は、社員のなかにもあります。しかし社長が言うように、製品やサービスが完璧ではないのも事実です。

今後も社員間、部署間の連携をますます高め、全社一丸となってお客様に喜んでいただける製品・サービスの提供に努めてまいります。

今後ともダイトクをよろしくお願いいたします!