よい製品・サービスを提供するためのシステムを管理できる企業の証とも言えるISO9001の認証。ダイトクでは2002年にこの認証を取得し、現在に至るまで認証を維持し続けています。

ISO9001の認証を取得、維持し続けるためには、第三者認証機関による審査を受け、その要求事項の全てを満たしていなければなりません。内部監査や品質管理の仕組みづくり、製造進行の記録の管理や進行の変更に伴う文書作成や差し替えのルール作り……やるべきことはたくさんあります。したがって取得も維持も簡単なことではありません。

今回はダイトクがこのISO9001を取得したときのことを振り返り、ダイトクがいかにして今の体制を作り上げてきたのかをご紹介したいと思います。

きっかけは現会長の「ISO取ろう」だった

サムズアップする作業着の男性

ダイトクがISO9001認証の取得を目指すことになったのは、現在の代表取締役会長であり、当時代表取締役社長を務めていた溝川恵一の「ISO9001を取ろう」という一言でした。

認証を取得した2003年頃のダイトクは社員数こそ今と変わらないものの、事業規模としては今よりも小さな企業でした。本社工場も雑然としており、あちこちに部品や工具が転がっているような状況です。認証取得までの道のりを考えれば、そのような状況からISO9001を取得するのは無謀とさえ言えました。

しかし溝川恵一はもともと営業出身だったこともあり、いい意味で楽観的にISO9001の認証取得を目指そうと言うことができたのです。仮に技術畑の経営者であれば、最初から諦めていたかもしれません。

ともかくも社長の号令でISO9001認証取得プロジェクトが動き出します。現設計グループマネージャーを含む2人の社員が中心となり、外部からの認証取得コンサルタントも入れました。

また、認証取得には組織全体の業務の流れの確認と見直し、それに基づく社内ルール作りや文書のフォーム作成、それらの管理方法などの整備が必要になります。これを行うには各部門からの協力が不可欠です。そのため、プロジェクトの発足時には、各部門からも主要メンバーを集めました。

一度は諦めかけたISO取得プロジェクト

当初は認証取得までの道のりを楽観視していた社長や主要メンバーでしたが、プロジェクトが進んでいくにつれて、雲行きが怪しくなっていきます。

仕事も勉強もなんて無理だー!となっている作業着の男性

認証を取得するには社内に内部監査員を置く必要がありますが、内部監査員になるためにはセミナーを受けたり、自分で勉強をしたりして、試験に合格しなければなりません。

内部監査員は一般的に部門ごとに1人程度置くため、社内で誰か1人が試験に合格すればいいというものではなく、主要メンバー全員が合格する必要がありました。しかもこの試験は「受ければ通る」というレベルの難易度でもなく、入念な準備が不可欠です。

しかしだからといって通常の業務を放置できるほど、ダイトクには人手がありません。ただでさえ通常業務に追われる中で、そこに認証取得のための作業や勉強が重なった結果、主要メンバーの士気が徐々に下がっていってしまったのです。

最終的にはその様子を見ていた社長までもが「もう諦めるか……」と言い始め、そこでダイトクのISO9001認証取得プロジェクトは失敗に終わるかのように思われました。

執念で成し遂げたISO9001認証取得

しかし中核メンバーとして動き続けていた現設計グループマネージャーを含む2人の社員だけは諦めていませんでした。

ISO9001取得のメリット

ISO9001の取得は企業としてのPRや高品質な製品・サービスの提供による顧客満足度アップにつながるだけではなく、製造プロセスや各部門の役割の明確化、人材教育の体制作りなど、様々なメリットがあります。特に現設計グループマネージャーは前職の経験でそのことを理解していたのです。

「ここで諦めたら二度とチャンスはない」と確信していた2人は、休み返上で認証取得のための作業や勉強に時間を割き、時には徹夜でプロジェクトを動かし続けました。なんとか自分たちだけでも内部監査員にならなければと、試験にも何度も挑戦し、最終的には合格を手にします。

ISO9001

その結果、認証取得コンサルタントが定めた目標から数ヶ月遅れの2002年3月、ダイトクは見事ISO9001認証の取得に成功したのです。まさに執念によって手繰り寄せられた成果です。現在のダイトクの製品や品質管理の体制の素地は、この時に準備されたものということができるでしょう。

まとめ

2002年当時、ISO9001認証取得プロジェクトに関わったメンバーはほとんど残っておらず、当時のダイトクを知るのは現設計グループマネージャーだけとなりました。

そのため、ダイトクでは現在、設計グループマネージャーからの引き継ぎを少しずつ進めています。お客様に安心してダイトク製品をご利用いただくためにも、かつてのプロジェクトメンバーの苦労を無駄にしないためにも、今の体制を守り、より良いものに改善していく所存ですので、今後ともダイトクとその製品をよろしくお願いいたします。

自分たちのため、お客様のために、今後もISO9001を維持し続けます!