2018年6月に大阪府北部を震源として発生した、大阪府北部地震。それからもうすぐ10ヶ月が経とうとしています。その後9月に起きた台風21号の影響もあり、発生から半年経った同年12月時点でも多くの地域で復旧作業が続いていました。

ここでは同地震の被害を振り返るとともに、その時ダイトクのトラックスケールにはどのような影響があったのかを紹介させていただきたいと思います。

INDEX
  1. 住家の全壊18棟の被害を出した大阪府北部地震
  2. 地震がもたらしたトラックスケールへの被害は?
  3. まとめ

住家の全壊18棟の被害を出した大阪府北部地震

全壊した住居

2018年6月18日7時58分ごろ。大阪府北部を震源として発生した大阪府北部地震は、地面からの突き上げるような揺れを合図に、近畿5府県に震度5弱〜6弱の大きな揺れをもたらしました。マグニチュードは6.1、震源の深さは13km。

とりわけ震源地に近く、震度6弱を記録した大阪市北区茶屋町、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市では、駅ホームの電光掲示板が落下したり、公共施設のグラウンドに50メートルもの地割れが起きたりと、無残な爪痕を残しました。

電気、ガス、水道などのライフラインは一時全てがストップし、交通機関も完全に麻痺。新淀川大橋が徒歩で帰宅する帰宅困難者で埋もれた光景を、ニュースなどで見た人も多いのではないでしょうか。

古いブロック塀

また子供達の通学時間だったこともあり、高槻市では倒壊したブロック塀の下敷きになった小学生が死亡。そのほか大阪府内で死者6名、2府5県全体で負傷者443名(うち重傷者28名)が出ており、住家にも全壊18棟・半壊517棟・一部破損5万7787棟の被害が出ています。

ダイトク本社のある大阪市大正区は震度4の揺れがありましたが、幸いにも大きな被害は免れました。むしろ大阪府下のユーザー様方の無事を祈り、何かあればいつでも現場に駆けつけるつもりで、電話の前で息を潜めて待機していました。

地震がもたらしたトラックスケールへの被害は?

しかし結論から言えば、今回の大阪府北部地震に関連するトラブルはほとんどなく、1件他社製ホッパースケールの修理依頼があっただけでした。実はこれには理由があります。

トラックスケールは地震に強い

というのも、トラックスケールは構造上地震に強いからです。実際観測史上初の震度7を記録し、死者が6434人、住宅被害が約64万棟という甚大な被害を出した1995年1月17日の阪神淡路大震災の時でさえ、基礎にダメージを受けたトラックスケールは多かったものの、トラックスケールそのものには大きな被害は出なかったのです。

埋込型トラックスケール

トラックスケールを使ったことのある人であれば見たことがあるかもしれませんが、基本的にトラックスケールの計量台は揺れています

これはロードセルへの必要以上の負荷を逃し、寿命を延ばすためですが、地震による揺れの負荷を軽減する効果もあるのです。もちろん鋼材の溶接を引きちぎるほどの揺れが起きれば別ですが、水平方向の揺れは基本的に影響はありません。

また直下型地震などによる強烈な縦揺れが起きれば、ロードセルに極端な負荷がかかって故障する可能性はあります。しかし大阪府北部地震・阪神淡路大震災といった歴史に残る直下型地震でも大きな問題が起きていないことから考えれば、あまり心配する必要はないでしょう。

むしろ地震の際は指示計などを設置している事務所の中で事故が起こり、何らかの原因で電源がショートを起こし、その電流がロードセルに流れ込んで故障するというケースの方が多く見られます。

といっても数にすればごく少数。したがって地震の際はトラックスケールよりも、他の部分のリカバリーに意識を注ぐ方が賢明と言えそうです。

トラックスケールの弱点は水と雷

雨と雷

トラックスケールが弱いのは第一に水です。、トラックスケールは架台こそ鉄でできていますが、内部にはロードセルや和算箱といった精密電気部品があります。

ロードセルはIP68相当の防塵・防水性能ですが、大雨や洪水によって大量の水がトラックスケール内部に流れ込むと、排水ポンプを備えている製品でも水浸しになってしまいます。

排水が間に合う程度の水量なら問題ありませんが、長期的に水没しているとコネクタ部や金具類に腐食が生じたり、経年劣化による摩耗・損傷部位などから水が浸入したりすることがあります。

また和算箱はケーブル接続があるため完璧な防水処理を施すことが難しく、長時間水に浸かってしまうと、内部に水が浸入してしまいショートします。

架台にもサビが大量に発生し、このサビが広がると鋼材の肉厚が薄くなり、たわみや強度不足の原因になります。たわみに関しては、トラックスケールの精度に直接的に悪影響をもたらします。

そのため東日本大震災のような地震が起きて、津波がトラックスケールを襲えば、その影響で精度の低下や故障が起きることは考えられます。

電子部品

第二に、台風などによって起きる雷もトラックスケールの弱点です。トラックスケールに使われているロードセルは負荷を電気信号に変換する電子部品ですから、トラックスケールに雷が落ちたり、ロードセルとつながっている指示計などの電装品に雷が落ちたりすれば、ショートを起こして壊れてしまいます。

そのためトラックスケールについて注意するべきは地震よりも、雨や台風、雷なのです。

まとめ

2018年の大阪北部地震でも、1995年の阪神淡路大震災でも、ダイトクのトラックスケールには大きな被害はありませんでした。それはもともとトラックスケールが地震に強い構造をしているからです。

そのため、万が一大きな地震が起きたとしても、、トラックスケールに日常的に乗り降りしている車輌などの重量が、いつも通り計量されていれば故障していないと判断して頂いてかまいません。それよりも大切な従業員やその他の設備のリカバリーに時間と労力を割いていただければと思います。

もちろん、何らかの原因でトラックスケールに問題があった場合でも、ダイトクにご用命いただければ迅速・柔軟に対応させていただきますので、ご安心ください。

この度、地震の被害に遭われた方々には、心からのご冥福をお祈りいたします。